まだ桜は咲いていない。
でも、どこか空気がやわらかくて、「もうすぐ春だな」と感じる朝だった。
太陽がちょうど顔を出し始めたくらいの時間。
眩しいというより、じんわり明るくなる感じ。
なんとなく、その空気に背中を押されて、自転車にまたがった。
走り出してすぐ気づいたのは、風がほとんどないこと。
いつもなら少しくらいは向かい風を感じるのに、今日はそれがない。
ペダルを踏むと、その分だけ素直に前に進む。
変に頑張らなくても進んでいく感じが、ちょっと心地いい。
道の両側には、まだ色の少ない田畑が広がっていた。
冬の名残が残っているような、少し乾いた土の色。
でもよく見ると、ところどころにうっすら緑が混じっていて、季節が動いているのがわかる。
こういう変化って、普段は気づかない。
車だと一瞬で通り過ぎてしまうし、歩きだと逆に近すぎる。
自転車くらいのスピードが、ちょうどいいのかもしれない。
1キロくらい走ったあたりで、体も少しずつ目を覚ましてきた。
最初は重かった脚も、だんだん軽くなる。
呼吸も整ってきて、リズムができてくる。
「今日は楽かもしれない」
そんなことを思いながら、一定のペースで進む。
2キロを過ぎたあたり。
ふと後ろを振り返ると、さっきまでいた場所が少し遠くに見えた。
たったそれだけなのに、「ちゃんと進んできたんだな」と実感する。
この感覚、なんか久しぶりだなと思った。
そして3キロ。
時間にすると10分ちょっと。
短いはずなのに、しっかりと“朝を使った”感じがある。
無風の道、静かな景色、ゆっくり昇る太陽。
全部がちょうどよくて、無理なく走れた日だった。
今日の気づき
桜が満開の景色もいいけど、
咲く前のこの“何も起きていない感じ”も、けっこう好きだなと思った。
人も少ないし、音も少ない。
ただ、時間だけがゆっくり動いている感じ。
その中を自分のペースで進むだけで、少し整う。

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